蔵王山水苑に暮らす

まったく想像しなかった自然暮らしの生活。今では「ここにしてよかったね」が口ぐせです。

「最初は別荘のつもりが…」

初夏を匂わせる木漏れ日に包まれた六月末の午後。自然の一部と化して周囲に馴染んでいる邸宅の前には、冬の到来に万全を期す大量の薪が山積みされ、偉大な自然と対峙する生活の一端を覗かせています。

仙台から蔵王に居を移した藤澤さんご一家は、この地で三度目の夏を迎えようとしています。結婚して家庭を築かれるまでは、ご夫妻共に、自然に寄り添う生活など想像もしなかったそうですが、結婚して第一子が生まれるという状況の中、その兆候は徐々に現れていたようです。
「蔵王在住で仙台に通われている知り合いの方から、すごく癒されるよという話を聞かされて、こういう暮らしに憧れを抱くようになりましたね」と想像が膨らみ、また「仕事の関係でこちらに来る機会が増えてきて、たまたま山水苑の露天風呂をいただくこともあったりして、こういう暮らしもいいなと思いましたね」といった体感も重ね、かくして山水苑に住居をご購入されました。ただその時にも、定住というはっきりしたお考えはなく、職場に近い仙台の賃貸マンションでの生活が続いていたそうです。

その気持ちが一気に傾いたのは五月末、生まれて間もないご長男を連れてはじめてこの住まいに泊まりに訪れた時でした。当初は三日間の予定でしたが、三日経ったら戻りたくないということになり、一週間経ったらマンションを引き払ってもいいのではという話になったそうです。そのいずれも、自然の営みに魅せられた奥さまからのご意見だったことにご主人は戸惑いながらも、むしろ自然なカタチで定住という選択肢を決断できたようです。ご主人の通勤に関しても、仙台北部から職場に通っている方より所要時間が短い上に、移動中は今までにない時間を有意義に使えているそうで、苦にはならないとのこと。いまは事あるごとに「ここにしてよかったね」と言い合っている日々を送っていらっしゃいます。

「以前はこういった生活はまったく想像できませんでした」と藤澤さん