蔵王山水苑に暮らす

ゆっくりと流れる四季の移ろいのままに

30有余年のサラリーマン生活、定年後は街の賑わいを離れて二人だけの暮らしを…。積年の想い、ではありました。ただ、その後も多少仕事への関わりを持つ二人にとって、全くの山暮らしは望むべくもなく、ここ「山水苑」は両立出来る最良の地でした。

早春から初夏は、沢の小川のせせらぎと競い合って鳴く鴬の声に目覚め、秋の夜長、様々な虫達の恋の合唱を幽かに聞いて眠り、冬、窓を凍らす吹雪の夜、ストーブの薪の炎の揺らめきに飲むコーヒーの香り…。ここでの暮らしは、ゆっくりと流れる季節の移ろいのままに…と思っています

○月○日 晴
萌ちゃん来る(孫、3歳の女の子)
賑やかな夕食の後、暗くなってから蛍を見に行った。群舞する蛍に感動。傍に飛んできた一匹をつかまえて手のひらで遊ばせていると、数回の瞬きの後、ふっと飛び上がり、萌ちゃんの鼻の上にちょこんと止まって、スーッと舞い上がって行った。「キャー、まって一」と叫んだ孫の顔(暗くて見えない)が目に浮かぶ。

○月○日 晴
今日は庭に出てバーベキュー。はじける炭火に目刺しと骨付きラムの臭い、冷たいビ一ルがほてった咽を潤す。又いつもの鬼ヤンマが遊'びに来た。テーブルの近くで一時停止、目玉を半回転させてあたりを見廻し飛んでいく。二、三度同じ行動を繰り返す。
ひょっとしてビールの臭いに誘われたか…。
心地良い沢風が庭を渡っていく。今日もゆっくりと陽が陰って行きます。